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取材協力:岡部町役場&柏屋館長 梅原さん
現在は歴史資料館として活躍する柏屋。
岡部町は品川から数えて21番目の宿、旧東海道の宿場町だ。国道一号線が街道から少し西よりに敷設されたため、往時の面影を良く残していた。しかし、茶園などの地場産業を有し町民が比較的裕福であったこと、そして日本の経済発展期が重なり、昭和40年代に入ってからライフスタイルに合わない古建築物が姿を消しはじめた。江戸期の建物は屋根勾配がゆるやかということなので、これを目安に街並みを眺めてみると面白い。
ナタあとの残る梁は古い建築物の証し。
大旅籠柏屋には立派な蔵も残されている。
整備が進む旧東海道、この道幅は当時と同じ寸法。
町では地域の独自性を出して行きたいと、宿場町の街並み復活に夢をはせ、賛同者も多い。しかし世代交代が進んだ地域住民との価値観の違いや、郷土に対する思いの温度差など、なかなか意識の共有は難しそうだ。土色を意識した脱色舗装など自然感に配慮した整備を進めるとともに、「改築の際には宿場町を意識した造形を」と地道な呼びかけを続けている。
こうした状況にあって、岡部宿の往時をよく伝えているのが大旅籠柏屋(かしばや)。現在の建物は天保7(1836)年に建てられたもので、平成10年に国の登録有形文化財に認定された。いまは歴史資料館として町が運営・管理をしている。築170年に達しようとする建物は、虫害などもあり、部分的に改修されているが、それでも一歩中にはいると、そこには江戸の空気が流れているかのようだ。西欧から木材加工の機械が入る前の時代の建築であるため、仕上げの木肌が荒く、それがかえって趣に深みを生んでいる。着脱式の格子戸や障子など、あちらこちらに職人の知恵と技をみることができ、江戸時代の建築物は思いのほか、アイデアの凝縮されたものであることが分かる。
こうした土地の歴史を象徴する施設を核に、これから町では宿場町にふさわしいイベントの開催など、ソフト面に力を入れ、郷土愛を育んでいきたいという。
柏屋館長の梅原さん。 |
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