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大観荘

大人の空間、間合いを味わう平田建築

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玄関

平田雅哉(1900〜80年)という棟梁・建築家をご存知だろうか。「平田数寄屋」と称される作風をつくりあげた、数奇屋造りの第一人者。森繁久弥主演の映画“大工太平記”のモデルであり、手掛けた建築に料亭吉兆、なだ万など。一本気な棟梁としての生き様を1961年に著した“大工一代”が2001年に復刊。建築関係者には伝説的存在の平田棟梁が中山悦治氏(中山製鋼所創立者)の別荘として昭和15年に手掛けたのが、この熱海大観荘である。

 

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制限しながら見せる庭。

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建具のデザイン、レイアウト、風景の切り取り方も計算し尽くされている。

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この天井と照明具の粋。

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床の間は数十mmの高さ。

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大観の間と松風の間を外から。

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この先を曲がると何があるのか、と期待してしまう。

取材にはこの建築の価値を一緒にひもといていただこうと、複数の建築家に同行を依頼した。熱海駅を降り、10分程歩いて着いた玄関のデザインを見ていきなり「もう、まったくの平田建築だ!」と一同、興奮気味。玄関でその様子を笑って迎えていただいたのが、営業部長の小澤清さん。さっそく館内をご案内いただく。

部屋に至るあらゆる造りが、まさに“粋”だった。階段の手摺などの華奢さ加減。庭園や水辺を制限しながら見せる窓。なんと三階までスッと見通せる階段の角度とデザイン。次の角を曲がると一体何があるのか、目線の先にドキドキさせられる仕掛けが施された空間演出の連続である。といっても、それは驚くような大仕掛けがあるわけでなく、どちらかといえば“チラリズム”的な細かいディテールでの粋な演出だ。
木を使ってどう美しく見せられるかの究極だね、と皆が声を揃えたのは、部屋の梁の細さと建具の繊細さ、数十mmしか高さがない床の間だった。いかに細い線にするか、いかに少ない面をとるかといった苦心が、このはかなさともいえる独特の美しさを創出している。また、この材だからこの仕上げが出来るのだ、と木を選別し、曲を見抜く一流の目があったことも建築家たちは付け加えた。
小澤さんにメンテナンスのことを伺ってみると、建物全体や建具は非常にしっかりしていて、消耗部分を修理するくらい。なんとエアコン等の設備機器のほうが心配なのだそうだ。全員なるほどと唸り、さらに、今もなお平田建設(平田棟梁創設)が大観荘のパートナーだと知って、また唸ってしまった。

同行した建築家たちは、帰り際に“なんという自由”“色気のある建築”“大人の空間”という言葉をさかんに使っていた。また、編集工学研究所の松岡正剛氏は、大観荘を評し“どんなところにも間合いが格別なのである”とホームページに書いていたことを思い出した。往時の文化人が粋を数奇屋に求めたように、これは一種のモダニズム建築。この建築の懐の深さも、木の空間だからなのだ。大観荘に宿をとる方は、関西料理とともに平田棟梁の“間合い”を味わうといい。

DATA
建物についての詳細はこちら(PDF:44KB)

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