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鈴木邸

家が人を繋ぎ、ずっと先まで価値を継いだ

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耐震補強した木製の壁に違和感は覚えない。

掛川城の東側。昭和8年、現在のご主人が4歳の時にこの家は3,000円という建築費で新築された。昭和50年代の内壁塗り替え、1年半前の耐震補強とキッチン・バスルームの改築、このようにわずかに手を入れることのみで、ほぼ当時に近い形のまま立派に住み継いでいる。ご主人は高校、大学と教鞭をとった漢文学の研究者。いっときはこの家から離れていたが、昭和43年から奥様とこの家にずっと暮らしている。

 

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玄関の中は工夫がいっぱい。

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モダンな書斎の窓際。

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南側のテラス部で語るご主人と建築士。

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テラス部のしゃれた天井。

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つくり付け家具も当時のまま。

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鈴木邸のまわりは緑がいっぱい。

この家の取材は、地元の建築士に薦められた。というのもここ掛川市は、2年前から建築士会によるボランティア耐震診断が静岡県の中で真っ先に始められたエリアであり、取材に同行いただいた建築士がこの家の診断を担当し、そのうえで実際に改築までオーダーを受けたものだったのだ。
最初の訪問時の印象を両者に聞いてみた。「びっくりでしたよ。昭和初期のコンパクトながら素晴らしい建築がこんなにしっかりと残っていて。耐震のため取り壊さなければならない家もありますが、ここは補強・改築でじゅうぶんいける建築だから、生かすべき・残すべき、と説得しました。」と建築士。「私はこの方たちが来て感心してしまった。建築技術論はもとより、この家の価値、これからの住まい方まで説得力のある話をしてくださった。掛川にもこんな人が居たのか(笑)と。」とご主人。「実はちょうどその頃、この家を取り壊して(笑)息子世帯と新居を計画中でした。偶然の出会いでしたが、本当に良かったと思っています。改築したキッチンは特にお気に入りです。」と奥様。
確かに地域に馴染む、緑に溶け込む建築だと感じる佇まいである。中に入ると、玄関と書斎のモダンさに驚く。すべての襖に使われていた掛川特産の葛布(くずふ)の醸し出す独特の風合いが素敵だ。そして、洗った天井はもちろんだが、水回りの改築部分も妙にフィットしている。屋外の木製耐震補強壁、ご主人が気に入っているという雨戸の戸袋も、新しいが違和感がないのも不思議だ。
メンテナンスでこの家の寿命はかなり延びることになった。<住み終えて、初めてその家のコストがわかる>と言った知人の言葉が気になった。木の家は正しく建て、正しくメンテナンスすればかなり長持ちするのだ。

「この辺りでは夏と冬、戸や障子など建具をすべて入れ替えするのが昔からの習慣で、この家でもずっとそれを守ってきています。」と奥様。すかさず建築士が「子供の頃学校から帰って障子が簾に替わっていたりすると、気分は完全に夏。季節感がビシバシ感じられたのに、新しい家は衣替えがなくてつまらないね。」この家は、まもなく建具を替える季節がやってくる。

DATA
建物についての詳細はこちら(PDF:44KB)

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