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新井旅館

宿だけでない価値は、宿の魅力を増幅させる

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玄関棟である、月の棟。
漆喰の白が印象的だ。

修善寺の温泉街をすすむと、ほんの一瞬、道が桂川に沿う。そこからは河原にある「独鈷の湯」が望め、修善寺温泉ならではの景観を演出している。その道が再び川と離れ始めるそのすぐ先に、こちらもまた独特な雰囲気をかもす新井旅館があった。

漆喰の白と日本瓦のコントラストが美しい建物だ。取材当日は平日にもかかわらず、玄関をくぐるとお客様で一杯である。さっそく新井旅館の代表、相原郁子さんに話を伺ってみる。「今は“文化財ガイド”という形で、見学をご希望のお客様をご案内しています。だから、みなさんが全て宿泊のお客様というわけではないんですね。」という答えが返ってきた。

 

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天平の湯。
画家、安田靫彦の考証設計によるもの。

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池を囲むように客室がある。

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棟と棟を結ぶ太鼓橋。
目の錯覚を利用した設計。
同じ高さに見えるが、手前の方が高い。

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裏から見た青州楼。

現在の新井旅館を完成させたのは、三代目館主の相原寛太郎氏である。若い頃に画家をめざした彼は、自らの号を「沐芳」と称し、多くの芸術家たちと親交があった。そんな成り立ちから、ここ新井旅館は文化・芸術的価値が高く、広く一般にも開放しているというわけだ。平成13年には「NPO靫彦・沐芳会」を立ち上げ、文化発信、修善寺温泉の発展に尽力している。では、とこちらは見物客になりきって、建物を案内していただく。

なるほど、さすがに見所は多い。中でも印象的なのは“天平風呂”だ。台湾檜でできた柱が目を引く、堂々たる風呂である。建築当時のまま、ということでシャワーなどの設備はない。外には桂川から水を引いた小さなせせらぎがあり、驚いたことに、その水中を覗くガラスが壁面の下部にレイアウトされている。新井旅館の敷地内には、池やせせらぎがうまく配置されていて、それが、ここならではの侘び、寂びを演出している。「これだけの建物、設備、景観を維持していくのには、ご苦労が多いでしょうね。」と聞くと、「いえいえ、それも仕事の内ですから。」と、いとも簡単に答える相原さん。続けて「この建物は頑丈な岩盤の上に建っているから、地震には強いんです。ただ、一部の棟は弱い部分もあるから、これは早々に対応しようと思っています。」

旅館という枠にとらわれない、木造建築の維持・継承。そして文化・芸術の情報発信。木の宿は、見学したい宿であり、泊まりたい宿であり、ずっとあって欲しい宿だ。特に“宿泊する”という行為は、それが一晩であれ、その建物の所有者になる感覚が強い。木の宿の価値を、説得力をもって話す人はそこに泊まった人たちなのだ。

DATA
建物についての詳細はこちら(PDF:45KB)

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