ホーム > 木職 〜もくしょく〜 > 林業家 青年林業研究協議会連合会 会長 鈴木耕治:林業家:木職
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プロフィール
実家は四国の愛媛。家業が林業だったので、小さな頃から山に親しみを感じていたという鈴木さん。京都府立大学農学林学科で林業を学び、龍山村森林組合の職員になった。次男の身軽さで遠路、天竜までやってきたが、赴任後間もなく縁あって25才で、この地で所帯をもつ。山主さんの家に婿養子という形で入った鈴木さんの山林経営者としての生活が始まった。
手入れの行き届いた林からは青空がみえる。
このあたりの木は樹齢70年のものが多いという今井さん。
苗木と成長した樹木を適度に混在させた複層林。
自分の生きている間に、できることをやる。
「木の需要が多かった時期なら、40年で市場に出すことができました。でもいまは高く売れる70年以上のものでないと、伐採後の山の管理まで考えた利益を出すことができません」という鈴木さん。伐採した山に植林をして、次の代へ受け継いでいくことを考えると、林業は利益効率の悪い業種になってしまった。
20年前なら天竜で山林が30haあれば、茶畑などの農業と組み合わせてやっていけた。いまは60haでも難しいという。こうした厳しい環境下にあって、鈴木さんは林業のみで生計を立てる、天竜でも数少ない林業家の一人だ。
山は苗木を植えてから20年間が、最も手のかかる時期だそうだ。間伐や下草刈りなど山の状態に応じて手を入れ、年輪が育つのを待つ。それにしても売れるまで70年という歳月は長い。ほぼ日本人の生涯だ。ことし植えた苗木が市場に出るのは、次の世代の出来事なのだ。利薄く苦労の多い林業をそれでも続ける、その魅力とは何なのだろう。「自然とともに生きていくのが好きなんです。それに山は手をかけてやれば、目に見えて良くなる。自分のやった仕事を実感できるのが、林業の魅力ですかね。不安はありますが、自分の生きている間に出来ることやり、あとは任せる」と笑う鈴木さん。
価格だけだったら外材には勝てない。地域環境と密接に結びついた山の意味をユーザーに理解してもらい、もっと土地の木を使ってもらえたら森もよみがえる。そんな思いを込め、消費者とのコミュニケーションを深める山主の活動も3年ほど前からはじめた。地産地消。顔の見える村産物。古くて新しい、そんな地域文化に根ざした発想も一つの方向だろう。「やれることをやる」と、鈴木さんは力強く語ってくれた。
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