ホーム > 木職 〜もくしょく〜 > 左官職人 倉田和仁:左官:木職

ここから本文です。

左官職人 倉田和仁:左官:木職

倉田和仁さんの顔写真

プロフィール

親の代から左官だったので、ごく自然に職人の世界に入ったという倉田さん。主に木造住宅に取り組む左官を「町場」、鉄筋関係を「野丁場」を呼ぶそうだ。倉田さんは町場でやってきた、この道25年のベテラン。しかし仕事は年々減少し、昔は月に2〜3棟くらいあったという本格的な土壁は、いまでは年に2〜3棟になったという。


写真

仕上げる箇所によって使い分ける様々なコテ。

写真

昔ながらの塗り影の土台となる竹小舞(たけこまい)。

写真

竹小舞は左官さんの仕事の領域。竹材も自分で裂いてつくる。

若手の練習する場が少なくなった、後継者養成が心配な左官の世界。

柱の間に裂いた竹で小さな格子状の壁をつくることを「竹小舞」という。これが土壁をつくる際の芯材となる。左官が真っ先に取り組むのが、この小舞づくり。次の工程が本番の塗り壁だ。土を練る「練り手」。それを適度な分量にとって「塗り手」に渡す「さいとり」、そして壁を仕上げる「塗り手」。基本的に3人くらいで役割分担して仕事を進めるのが効率が良いという。壁の乾燥という問題があるから、キリの良いところまで一気に仕上げなければならない。

「自分が左官になった頃は、新築の家はほとんど小舞だった」という倉田さん。しかし本格的な土壁の仕事は年々減少し、いまでは若い設計者の中には小舞を知らない人もいるそうだ。だがもっと切実な問題は、左官に成りたいという若者が少なくなったこと、さらには若手が塗りを練習する場が無いことだ。仕事の絶対量が減少していることもあるが、近年の工期やコストを重視した住宅の場合、塗り壁仕上げでも伝統的な工法をバイパスして、完成品にいたる手段を志向する傾向が強い。そのため塗り壁は一発仕上げが要求され、それに応える力量をもった熟練の者しか担当できない。荒塗りなど、昔なら若手に任せて練習の場としていた工程が消えつつあるという。

伝統という昔ながらの知恵は、次の世代の職人を育てるという環境も与えてくれていたのだ。いまでは「外まで塗りでは自信がない」という左官も出てきた。「40才以下で竹小舞をできる人は数少ない」という。このまま行くと、漆喰で壁を仕上げたいという施主がいても、それに応える職人が居ない。そんな不安が現実のものとなりそうだ。

ページの先頭へ戻る

キノコ・竹・炭の情報館

森の恵みのしいたけや木炭、竹をテーマに、その効用や活用法、料理のレシピなどをご紹介。

  • キノコの情報
  • 竹、竹材の情報
  • 木炭の情報

もくもく勉強館

静岡県の森林・林業や、森林の役割などを解説。木工作の事例、森林教育の体験施設などを紹介しています。

  • 静岡の今昔
  • 木工作
  • 森林環境教育

木と森のイベント情報(木使い県民運動協賛行事)

  • しずおかの木の家見学会
  • 木と森のイベント

木職ネットワーク 木をめぐる「職」にたずさわる方々に「職」へのこだわり、思いを語っていただきました。

温故知新 静岡県の歴史的建築物を訪ねて、木使いの真髄を学びましょう

静岡県 森林情報共有システム