ホーム > 木職 〜もくしょく〜 > 一級建築士 青島明弘:建築士:木職
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プロフィール
東海大学卒業後、学校の先生に師事し、さらに深く建築を学ぶ。その後、職人技が生きる建築設計を提唱する「住まい塾」と出会い、東京本部で設計者として活躍。5年ほど前に実家のある磐田に帰り自分の事務所を設立。「住まい塾」の精神を継承しながら、地元の天竜材を使った、真に価値のある豊かな住まいづくりを追求している。
木と漆喰で仕上げた落ち着いた事務所内部。*残念ながら材は外材(まだ天竜材と出会う前に建てたため)
スケッチ段階が一番楽しいと言う青島さん。
外材の場合、経年変化による木の縮みが早いように感じるという。
窓からの眺めにも緑が配されて心落ち着く。
本当に良い家をつくるなら、住まい手も勉強する必要がある。
「良い家をしっかり手入れして、愛着をもって長く使う。50から100年単位で家づくりを考えてみると、地域の中に腕に覚えのある大工さんが残っていくことの重要性が見えてくる」と青島さんは言う。暮らしの変化に合わせて改築の必要も出てくるだろう、定期的にメンテナンスもしなければならない。コストを重視した量産型の住宅では工法が変わるサイクルも速いし、会社レベルでは面倒が見きれない。50年、100年というゆっくりとしたリズムに呼応する技術、職人の存在が不可欠なのだ。
経済成長を支えてきた大量消費は、その裏側で日本の文化を壊してきた。大きな流れの中で、さまざまな伝統技術の継承を衰退させてきた。「住まい塾」の発想は、こうした状況への警鐘が根底にある。本当の豊かさとは何なのか。職人、現場の技術者にとってやりがいのある家づくりを設計の中に取り込むことによって、住まう人にも、さらには地域社会にも意義深い流れが生まれるのだ。「そうしたことを施主さんにもわかってもらって家をつくっていきたい」という青島さん。彼をはじめ、県西部地区で活動する4人の設計者で結成した「森と住まいの会」も、そうした思いを具体化する運動のひとつ。
木を育てる林業家、用材を仕上げる製材所、加工し組み上げる職人、空間をイメージする設計者、そして住まい手。こうした人々をつなげ、山にお金が残る仕組みを考えていく。住まい手も木を知る。職人の話を聞く。そうすれば自分たちが建てる家の価値観も変わってくる。「お金じゃない部分で人がつながっていくと、結果、いいモノが安くできるようになる」。そう青島さんは語ってくれた。
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