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素足でコンクリートやタイルの上に立つとヒンヤリとした冷たさを感じます。これは体温が急速に奪われるためです。熱を伝えやすいコンクリートなどは、室内の温度が低くなればなるほど、その温度もそれにともなって低くなります。
これに対して木材の熱伝導率は、石の約1/9、鉄の約1/500と断熱効果が格段に高く、時間の経過にともなう温度の低下がゆるやかです。足の疲労を軽減し、作業効率などを高めるためには、直接手足のふれる床に熱が伝わりにくい木材が最も適しているといえるのです。木材が熱を伝えにくいのは、コンクリートや鉄とは違ってその構造が、細胞の集合体であることによります。例えばスギの木口断面1平方センチには、約4万から30万個もの細胞がつまっていて、それらの細胞には、熱を伝えにくい空気が含まれているため、断熱材に匹敵するほどの効果が期待できるのです。
例えば、木造住宅は、鉄筋にくらべて、一度暖炉等で暖めてしまえば、いつまでも暖かさが持続します。また、調理用具の取っ手や柄は、鉄、ステンレス、アルミニウムなどの金属では熱が伝わりやすいため、木が使われているのです。逆に寒い地方では、外に面したガラス戸の枠やドアの取っ手などに木製のものを使い、冷たさが伝わらないようにしています。
電子顕微鏡で見た針葉樹の構造
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